「先生、全体の調子はすごくいいんですが、
あと、このスジだけ、硬いんですよ」
スポーツ選手の彼は、そう言って、
肩と首をつなぐ1cmぐらいのスジを、指さしました。
――こういう人は、ほんとうに回復が早い。
全体と詳細が、両方、見えているんです。
どうしたら、このいいところ、マネできるでしょうか?
キーワードは、
「細かく、広く」です。
全体を見る大きな視点。
詳細を見る小さな視点。
どっちも使う、ということです。
……でも、そう、普通、できないよね(笑)
ぼくも、同時にできる人間じゃありません。
ただね、意識して
「順番にやる」のだったら、誰にでもできるんです。
多くの人は、そのやり方を知らないだけ。
ちなみに、
一流のスポーツ選手は、これ、同時にやるんです。
だから、たとえばメッシは……
●試合全体の流れの中で
●今自分がやるべき役割と
●チームでやろうとしていることを考えて、
(ここまでが全体)
▼足元に来たボールをどの位置に止めて
▼どこにいるはず味方のどっちの足よりに、
▼どれぐらいの強さのボールを置くために、
▼相手の守りのどの穴を通すか、
(ここまでが詳細)
までを、同時に、瞬時に、
判断しているわけです。
すごいですよねぇ。
でもぼくらもね、
テレビ中継で上空から見ていて、
もし録画してある映像だったら、できるでしょ?
カメラが上空だから全体は見えるし、
一時停止も巻き戻しもできるんだから(笑)
……要は、そういうことなんです。
そうすればいい。
超一流な必要もなければ、
スポーツの話でもないので、
●落ち着いて、一時停止とか巻き戻しとかをしつつ
●全体を見たり、詳細を見たりを順番にやる
だけで、
かなり高いレベルのことがやれるんです。
セリフでいうなら、
「よし、まずは全体を把握するなら……」
って考え始めて、
「次に、個別のポイントを見るなら……」
って進めたらいい。
腕のいい整体師は、
おそらく、こんなことをやっています。
体全体のバランスを見て、
「どうも大事なのは、このエリアだな」
って【目星】をつけてから、
「このエリアでも重要なのは、
どの筋肉の、どのライン(スジ)だろう」
って触って、
「どの点で詰まってるんだろう」
まで、細かくする。
そのあと、
「この点が詰まってるなら、どこに派生する?
あ、じゃあ、肩こりもこの腰からか」
って、また全体に戻ったりする。
そうすると、
「つまり、この1点をやれば、
肩も腰も足のつりやすさもヘソの左の痛みも血流も
グッとよくなるわ」
って、視えてくる。
もはや、一石5鳥。
だから、仕事が早いんです。
仕事が早い人って大抵、
作業が早いんじゃなくて、
作業を減らしてるんですよね。
大事で効果的なことしかやらないというか。
だからぼくのセルフケア整体も、
●全体に効くもの
●詳細に効くもの
という2つの方向から作っています。
たとえば、
一番紹介することが多い
「ウェイブ・ポンピング」(↓)は、全体に効くものですし……
今、じわじわと作っている、
「痛みの整体辞典」シリーズは、詳細(個別)に効くものです。
本でいえば、
「首ポンピング」は全体だし、
「ゆるストレッチ」は個別です。
2つの視点を持ちましょう。
それを簡単にするために、
全体と、詳細を、
順番にみていきましょう。
どっちかだけに、なりがちだからね。
魔法の質問で、まとめます。
「よし、まずは全体を把握するなら……」
「次に、個別のポイントを見るなら……」
「今、全体と個別、見えなくなっているのは、どっちだ?」
けっこう大事な、3つ目。
何かに行き詰まっているときは、
どっちかばかりに目がいっているからこそ、
道が見えないんです。
困ったときにぜひ、この魔法を、
思い出してみて下さい。
映画と同じでね、
全体と目の前が両方見えたら、
面白さ、倍増しますからね。