「うちのワンちゃんが、
腎臓の病気になっちゃってね……」
そういうトメばあちゃん(仮)が、
何年もかかえていた「めまい」は、
看病の日々の中で、完全に消えていました。
「私が病気なんかしてる場合じゃない!」
って、本気で思ったんだそうです。
で、ワンちゃんを病院に連れて行ったり、
ほぼつきっきりで看病したりしているうちに、
「めまいなんか忘れていた」と。
……感動しました。
その後、ほんとうに幸いなことに、
ワンちゃんも、すっかり元気になりました。
トメばあちゃんの真心が効いたのでしょう。
めまいも、再発しませんでした。
ぼくは「やる気」より、
「平気」のほうが大切だと思ってきました。
燃えるように熱いけれど冷めてしまう「やる気」より、
淡々としていても歩みを止めない「平気」のほうが、
ずっと遠くまで行けるから。
でも、もっと強いものを教わりました。
「その気」です。
「こうあるのが当たり前」だと思い切ったら、
熱い勢いと冷静なたしかさを両脇にかかえて、
もっともっと遠くまで行ける。
トメばあちゃんはきっと、
「何が何でも守る人」になったんです。
やる気がどうとか、
平気がどうとか、
そんな「状態やら気持ちやら」なんかじゃなく、
「存在」がシフトしたんだと思います。
そしたら、
「トメばちゃんが全身全霊で選んだあるべき存在」に
似つかわしくないものは、勝手に、剥がれ落ちた。
「そういえば、おやつ食べるのも、忘れてましたわ」
と笑う彼女は、ほっそりして、5kgも痩せたらしい。
外から注入しなきゃいけない化学燃料と、
自家発電で生まれる相性最高の自然エネルギーは、
やっぱりそりゃあ、違うよね。
「自分をその気にさせたらいい」
手段は今、手探りしている最中だけれど、
ぼくはトメばあちゃんにお会いして、
このことを、考えるようになりました。
1つ、手がかりだと思っているのは、
「誰をどう守り支えるために、自分はどうありたいか」を、
くりかえし、たしかめていくことです。
ぼくにとって「誰を」ははっきりしていて、
その中には、まことに勝手ながら、
こんな文章を読んでくれているあなたも、入っています。
だから、答えの輪郭が見つかったら、
またお知らせします。
あなたもぜひ、
トメばあちゃんからヒントをもらったと思って、
「自分をその気にさせる何か」という視点を、
ちょっとだけ、遊んでみてください。
話は戻りますが、
帰り際、すごくいい顔をして、
「うちのワンちゃんが、私のめまいを治してくれた」
って、彼女、言ってました。
ぼくの出番、なかったなぁ(笑)