「ラスト30秒、あなたは必ず、涙する!」
このところ、
こんな宣伝文句を耳にすることが増えた。
“せっかく泣くなら、泣ける話だってことを知らずに、
泣きたかったな”
って、ぼくなんかは思うんです。
感動が「目減り」するやんけ! と。
「この前、超面白いことがあったんですけど……」
って話し出しはよくないって、明石家さんまが
よく言ってます。
ぼくもそう思います。
「こんなはずじゃなかったのに……想定外だ」
っていう人の「想定」が、かなり自分に都合のよいもの
だったりするのも、よくあるなぁ。
今ならべてみた3つは、本質がおんなじ。
「予断」
これが、人生をつまらなくするんじゃないかしら。
感動なんていう、みずみずしい心の躍動は、
“新鮮さ” にまず、反応してるんじゃないかと。
▼写真で見たことがあったハワイの海
▼テレビで見たことがあったハワイの海
▼事前には何も知らず、現地ではじめて見たハワイの海
▼海さえ知らなかった砂漠の少年が出会ったハワイの海
感動は、
どうしたって「予備知識」に殺される。
無防備な少年に映る色彩には、
到底かなわない。
……いえね、つい先日、
20才になったばかりの新人さんたちの研修をしてて、
痛いほど感じたんです。
「それ、知らない!」って、吸収を助けるなぁ。
「それ、本で知ってた!」って、消化をジャマするなぁ。
って。
まだ泳いだことない人が、水泳の本買ってきたら、
ビックリするもんね。
「いやいや、そんなもん置いて、まず水ん中、入ってこい!」
「せめて水を体で知ってから、知識に手をださんかい!」
ってね。
情報を集めるとか、上手に扱う方法は学んできた。
けれど、
情報に溺れないとか、縛られない方法って、
教えてもらうこと、あんまりないよね。
人生の色彩が死んでしまわないためにもね、
「よう知らんけど、試してみる」
ってことを増やせないかなって。
改めて考えたんです。
30才を過ぎたから、余計に。
年取ったから、鈍感になるんじゃなくて、
鈍感に感性を閉じたから、年取るってところも、
きっとあるもんね。
その「感性の封印」がしかも、
日々の情報が増えすぎたことで、
「無自覚のうちに起きている」としたら……
すごい怖いことです。
「習うより慣れろ」
「ガイドブックなしで飛び乗れ」
「食べログの前に食べろ」
「どう料理すんだこれ!ってぐらい変な野菜を買ってこい」
「月に1冊は、ジャケ買いしろ」
みたいなね。
小さな冒険を、忘れないでいたい。
そういえば最近、
「こりゃあ5年は通いそうだぞい」
っていう飲み屋さんを3つも
見つけたんだけど……
どれも、食べログの点数は、3.1 あたりだったなぁ。