「ご飯を食べるのさえだるくて大変なのに、
まったく眠れません……」
つい先日も、そんなお客さんをみました。
メンタルが疲れ切っている。
自律神経も弱っている。
そんな人には【大きな共通点】があります。
何か?
「自分の性格や感情を変えようとする」
というパターンです。
意外に聞こえるかも知れないのですが、
これは、いけません。
ものすごいストレスです。
それが体調不良の原因といってもいいぐらい。
……あ、もちろん、気持ちはわかりますよ。
ミスがあったり、
トラブルがあったり、
何かの望みが叶わないときに、
「原因は自分だ」と考える。
「周りじゃなくて、自分を変えよう」と決める。
そこまでは、いいんです。
でも、問題は、
自分の「何」を変えるか、です。
性格は、変わりません。
感情も、変わりません。
そこに取り組むのは正直言って、
「ミッション・インポッシブル」です。
ぼくらはトム・クルーズではないんだから、
そんなところに挑んではいけない。
(タイトルの回収)
そして、
「無理な要求を突きつけられることが続けば、
誰だって精神的ダメージが重なっていくぜ」
というのは、あったり前のことなんです。
だから、
性格や感情を変えようとすると、病むんです。
この理解は、本当に大事です。
(なんで中学生ぐらいのときに
ちゃんと教えてくれないんだろう)
まだピンと来ない人も多いと思うから、
事例で考えてみましょう。
たとえばね、
運動がめちゃく苦手な子どもがいたとしましょう。
それでも、体が弱くなっちゃうと困るとかで、
体育はせめて休まないで頑張りなさい……というところまでは、
理解できます。
ただもし、体育教師が、
「なんでお前は、そんなに運動ができないんだ!」
とか、
「このクラスが運動会で活躍できないのは、
お前のせいなんだぞコラァッ!!」
とか言って責めてたら、
どうしますか?
3秒でクビにしますよね。
苦手なもんは苦手です。
それを自ら選んだわけではないのに、
ちゃんと耐え忍んでいる人を責めるのは、理不尽です。
さらに、因果関係がはっきりしない問題まで
その子のせいにするのは、暴力に近い。
うん、自分でたとえ話をつくっただけなのに、
この体育教師にハラがたって来た……(笑)
でもね、
ぼくらはこれと同じことを、しちゃうんです。
ドジな自分の「ドジ」を直そう。
私の仕事がうまくいかないのは「ドジな性格」のせいだ。
ネガティブな自分を直そう。
ぼくの人生が暗いのはこの「ネガティブな性格」のせいだ。
気持ちを切り替えなきゃ。
この「悩みや負の感情」を忘れないと、前には進めない……。
それって実は、
「ダメダメ即クビ体育教師」のやり方なんです。
だって、無理なんだもん。
しかも「本当は性格や感情のせいじゃない」んだもん。
仕事がうまくいくのは、
「ドジじゃなくなった人」ではなくて、
「ドジさを理解して有効な対策をした人」です。
ドジなまま、ね。
人生が明るくなるのは、
「ネガティブじゃなくなった人」ではなくて、
「ネガティブさを理解して対策や活用ができた人」です。
ネガティブなまま、ね。
前に進めるのは、
「悩みや負の感情を無理やり整理した人」ではなくて、
「悩みや負の感情の扱いを覚えた人」です。
悩みや負の感情は抱えたまま、ね。
(増幅したり膿んだり溺れたりはしないけど)
何が言いたいか?
あなたが自分に
「ミッション・インポッシブル」を課してしまってないか、
今すぐチェックして、
今日いま、このときに、ぜんぶキャンセルしましょうよ。
だって、無理な上に【理不尽】なんだもん。
まったく不要に自分の自尊心を傷つけて……
自己肯定感や自己効力感もズタボロにして……
そんなに確実に効果が出る「失敗法則」なんて、
他に見当たらないぐらいです。
とはいっても……
じゃあ、全部のミッションを
あきらめてしまわないとイカンのか?
というと、
そうじゃありません。
「ミッション・ポッシブル」に、
すべてを変えるんです。
トム・クルーズじゃなくても大丈夫というか、
もはや、
「そのへんのやる気の弱めな普通のおじさん」でもできる
ミッションに変換するんです。
たとえば、
「ドジな自分を直す」ことは、できない。
だとしても、
「自分でのチェック回数を2回にする」ことや、
「仲の良い上司や同僚に事前チェックを頼む」こと、
「ミスを減らすためにチェックシートをつくる」ことだったら、
可能な人が多いでしょう。
それが少しずつでもできれば、うまくいく仕事も増えていきます。
確実にね。
「ネガティブな自分を直す」ことは、できない。
だとしても、
「ネガティブ同士で氣の合う友達を探す」ことや、
「沈んだ気持ちが明るくなるお気に入りの動画や音楽を探す」ことや、
「よりネガティブを具体的に考えて書き出して、
対策をその横に書き並べていくノートづくり」だったら、
可能な人が多いでしょう。
それが少しずつでもできれば、人生自体は明るい方向に進みます。
確実に。
「悩みや負の感情」を忘れることは、できない。
だとしても、
「そんなことでも相談できる人や掲示版」を探したり、
「そんなときでさえ集中できる単純作業」を見つけて、
それを仕事のウォーミングアップに利用することや、
「気持ちが切り替わるかもな自分用行動リスト」を書き出して
1つ1つ有効かどうかをチェックしていく実益満載ゲームを
やってみることだったら、可能な人が多いでしょう。
それが少しずつでもできれば、
キャリアも人生も、少しずつ前に進んでいくでしょう。
確実に。
そう。
チェックシートをつくったり、
動画を探したり、
ノートを書いたり、
単純作業をしたり……ということは、
トム・クルーズじゃなくても、できるんです。
ただのおじさんでも、ポッシブル。
つまり、性格や感情ではなく、
「作業内容」を変えるんです。
そういう、
「ただのおじさんでも可能なやり方」こそが、
有効です。
特に、弱ってるときはね。
で、ぼくらは
「いつ弱るかわからない」んです。
(体調の変化、年齢、アクシンデント、自然災害、
コロナみたいな例外だってあるんだから)
だから、
「有能じゃなくて弱ってるときの自分でも可能な作業」
で、仕事や生活や人生を進めるクセをつけるといい。
そしたら、
周りが止まってしまうようなときでさえ、
あなたはちゃんと進めるんです。
まわりを助けることさえ、できる。
それって、すごくヘルシーなことでしょう?
で、立ち止まりさえしなければ、
新しい風や景色や人に必ず出会って、
それなりに心の栄養になっていく。
そうこうしていたら、
「ドジ」な部分をうまく補えたり、
「ネガティブ」さが慎重な仕事スタイルに活かされたり、
「悩みや負の感情」が書くべき文章の素材になったり、
するようになりました。
(ぼくの実例としてね)
だから、最後にもう一度だけ……
できもしないことを、あなた自身に強要しないでね。
できもしないことだったのに、
それが何かの原因だとして、あなた自身を責めないでね。
ミッション・インポッシブルはすべて、
ただのおじさんでもポッシブルに変えていってね。
せっかくの性格を、変えようとしないでね。
変えたらいいのは「作業内容」のほうだから。
自分のどこを変える?
なんて質問は、いったん捨ててしまいましょう。
どの作業をやめる?
どんな作業を足す?
この2つの質問がきっと、
気力を殺さず、確実にものごとを前に進めてくれるはず。
ではでは、くれぐれも、お大事に。
そう考えたら「変えがたい」と「替えがたい」は、
よく似てるんだね。