楽ゆる式◎セルフケア整体

心と体が楽になるコツ。辛い症状・病気を自分で治したい人へのヒント。 ----- by 楽ゆる整体&スクール代表 永井峻

ぼくらにも〝四季〟がある。四季ごとの旬がある。


「わたし、
 自分の全盛期は20代だったと思ってたんです。
 でも、今むしろ、人生で一番体調がいいんです!」

――そう興奮気味に、
話してくれるお客さんがいました。

とても嬉しい。気持ちもよくわかる。


ただね、
全盛期って「まぼろし」なんじゃないかなって、
ぼくは思うんです。



今まだ生きている以上、
これからもう一度全盛期が来るかも知れないし……

「視点」によっては、
20代が全盛期じゃないかも知れない。

(例)人としての優しさの全盛期は晩年に来がち、とかね

だからぼく、
「オワコン」って言葉が嫌いです。

(終わったコンテンツ、の略。流行りを終えたものや、
 ひどいときは、そう見える「人」にも言われる言葉)

人間は物じゃないし、
「存在価値」や「使い道」は一種類じゃないからね。


たとえば……

ぼくは「おなかもみあげ」を読みかえすと、
複雑な感情になるんです。

2014年に出た、一冊目の本。
当然、今のぼくから見れば、未熟さが目立ちます。
「やたら名言を言いたがって」たり(恥)
「たとえ話が多すぎて渋滞して」たり(混)
「今なら5行で説明できることに15行かかった」り、してる(重)

でもね、
今のぼくには、あれは書けないんです。

怖いものを知らない勢い、
多くの人に自分の信じる価値を伝えられる喜び、
どうにか読者に届け!という願い。

それぞれの強さがすごい。
まぶしい。
少しうざい。
汗臭い。
でも……熱い。


当時のぼくには、今のぼくの文章は書けない。
でも同時に、
今のぼくには、当時のぼくの文章は、書けないんです。


じゃあ、どっちが全盛期か?


それは……


「どっちも」


なんだよね。


それぞれ「味」が違うんだもん。



きっとね、
人生にも四季のようなものがあるんです。
それがくり返し、巡っていく。

野菜で考えたら、わかりやすいよね。
春には春の、冬には冬の作物があります。
で、その季節の食べものは、
大地にとっても人にとっても、独自の滋養と意味がある。
土を養い、人の氣を補う力を持つ。
(夏野菜は体の熱を落ち着ける、とかね)

それぞれの旬の作物に、優劣なんてありません。
「それぞれのときに、それぞれ必要」なんだからね。

そして、
その時期の作物は、
その時期の環境だから(環境が変わったからこそ)、
生まれるものです。

それはきっと、人間も同じなんだと思うんです。

季節は巡るし年齢は重ねるけれど、
その時期、その環境ごとに、別の旬がある。


だからぼくは、
「今、この自分だから出せるもの」を出します。

多少ぐらい意味不明でも、
信長の話を急に書いたり、する(笑)

それは単発で見れば、変かもしれない。
でも多分、この時期のぼくに何か必要なものなんです。
そしておそらく、なんらかでシンクロしていくれている
ぼくの読者さんの中の100人に1人ぐらいにとっても、
何かの栄養になったりするんです(たぶん!)


あんまり好きじゃないんだけど、
「当たり・はずれ」とか「神回」なんて言い方も、あるね。

でもぼくは、知っています。
「はずれ」と呼ばれる回で養った知見やパワーや念力が、
「当たり」や「神回」をつくるんです。


だから、もう一回だけ、言わせてね。

きっと『全盛期』なんて無い。
あるとしても、一面だけを切り取った「他人の解釈」でしかない。

すべての季節を何周も経て、
すべて蓄えて発酵させて、今がある。

春は開花期、
夏は隆盛期、
秋は収穫期、
冬は蓄熱期……

呼び方はなんでもいいとしても、
「波」があり、それが「巡る」のが自然です。

それぞれの「季節の過ごし方」があるだけ。


と、すれば、
テンションが低いときに、無理やり上げるのは不自然だよね。
それは冬に無理やり海で泳ぐようなもんです。

きっと「テンション低いなりの表現」も
〝旬〟の一つなんだよね。


ぼくも自律神経失調症のときは、
仕事量も熱量もガクンと減りました。

でも、
そのときに体に蓄えた無念、痛み、絶望、小さなきっかけ、
自分を変えたアイディア、希望のタネ、解決策などが
「なくてはならない肥やし」になった。
それがあるから今、ぼくは仕事ができている。
続けられている。

「そのときどきのベスト」でいいんです。
死ぬまでずっと。

20代のぼくらにしか出せないものと、
90代のぼくらにしか出せないものが、
それぞれあるから。

要するに……

健康のために「若さを保とうとする」のは良いと思うんです。
ただ、今の年齢なりの働き方や楽しみ方を探す遊びも、
同じかそれ以上に、大切にしたい。

若い頃〝だけ〟を「全盛期」だとする気持ちがどこかにあったら、
いつのまにか、心が枯れていっちゃうからね。

きっと、
「ベスト」という言葉の意味は、
「最高」というより「最適」のほうなんです。


いつだって何かしらが全盛期。


そう思い切れば、
体にも人生にも良いんじゃないかな。


ではでは今日もお大事に。
今が冬なあなたと今が夏な誰かとを比べるのも、
野暮でしかない……ってことだよね。