楽ゆる式◎セルフケア整体

心と体が楽にゆるむコツまとめ。辛い症状や病気を自分で治したい人のヒント。

思い出のアマンダ 〜未熟は、自由の別名〜

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「そんなことも知らないの?」

割とよく言われる。
そしてぼくは、
「はい、知らないです」と、平熱で、答える。

 

彼にとってぼくはつまらないやつなんだろうな。
でも、ぼくにとって彼も、つまらない人かもな。
知識の有無が、そんなに大切だと思わないから。

 

 

知識はあくまでも、外にあること。
その人の考えや、動き、暮らし。
中で生きているもののほうが、ぼくにはずっと面白い。

 

「趣味と言えるほどじゃないんです」
なんて言い方、なくなればいいのに。

まだ下手なうちが一番面白いなんてこと、
いくらでもあるんだし。


「ちゃんとしたもの」しか表に出せないとしたら、
ぼくという人間自体、引きこもるしか無くなる。

 

せめて、未熟さに素直でありたいなぁ。

 

「未知」と「無知」は、違う。
「無恥」、つまり恥知らずでなければ、それだけで十分なんじゃないか。
知らない人を知らないだけで責める心のほうが、
ぼく個人の価値観では、無恥に近い。
不自由だとも思う。


高校生のころ、
アメリカに3週間、海外研修に行った。

南部のジョージア州、小さな田舎町。
全身黒ずくめ、髪まで真っ黒に染めたヘヴィメタ女子高生がいた。
彼女の名は、アマンダ。

 

肌はA4のコピー用紙のように白くて、目は真っ青。
数えきれないほどのピアスを顔中にしていたけど、
底抜けに明るかった。


よく笑う子で、顔と一緒にキラキラとピアスも大移動するから、
物理的にも、明るかった。

 

先入観があったぼくは、
「音楽が好きなの?」と、つい聞いた。

 

アマンダは、
「ノー、全然よ」と言う。
「ただやりたい格好が、これなだけよ」

 

ますます面白い。

 

「ただ、わたしにも得意なことがあるわ。
 みんなにも評判なのよ。
 ねえタカ、それが何かわかる?
 ・・・日本語よ!」

 

あ、そうなんだ!

 

「聞いて、あなたにもわかるはずよ」

 

ニヤリとした、アマンダ。
いたずらっぽいブルーの目でバチリとウインクすると、
花の香りでも楽しむかのように、スーッと息を吸う。

 

たっぷり間をおいたあと、
カッと目を見開いて、彼女は大空に歌うように言った。


「タニムゥラ、スィンジー!!!」


・・・!
・・・・・・!!

谷村新司かよっ!

 

そして、あんた、
それ以外、一切日本語、知らないのかよ!!(笑)

 

つってね。
本当に楽しかった。
ぼくはアマンダが一発で好きになった。

 

色々教えてあげたくなったけど、
「谷村新司」より面白い日本語なんて、
ぼくには思いつかなかった。


彼女は自由だった。
ぼくにさえ、一瞬で自由を与えた。

なぜって、
「この子になら、自信のない英語で話しても、きっと大丈夫」
って心の底から安心したから。


彼女に未知のことは多いはず。
でも、無知ではないし、無恥でもない。
自由で未熟で、たまらなくチャーミングだった。

ぼくは、なんでも知ってる知の巨人よりも、
アマンダに憧れる。


「そんなことも知らないの?」というより、
「タニムゥラ、スィンジー!!!」
って言いながら、生きたい。


知らないことなんて、一生ある。
むしろ、増えていく。

 

いいも悪いもなく、ぼくひとりのサイズは、大きくない。
でも、無恥でさえなければ、
それでいいかな。


こだわりよりも、素直さを。
心の中に、アマンダを。


ではでは、くれぐれも、お大事に!
心のどこかには、谷村新司を。