「あれ? 先生、まだ何もしてもらってないのに、
肩こりがだいぶ楽になってます……(笑)」
整体を始める前に、
ぼくがお話を聞いて、こんな風になってますよ、
ポイントはこの2つですね、なんて説明をする。
その時点で、「だいぶ楽になってる」ことが、けっこうある。
どうして?
安心できたからです。
「でも、腰の重さはまだけっこう、あります。
不思議ですね」
そう、そっちは多分、少し深いんでしょう。
「じゃあ私の場合は、腰を大事にしたら、いいってこと?」
そうそう、そういうことです。
肩は、大したことなかったってことですよ。
「なんだ、そうなんですね。まぁ、実際いま、軽いし。
そうなんだったら、気が楽になりますね」
――そんなやりとり。
珍しくもないんです。
ぼくたちは「ゴールが見える」と楽になる。
「大事なものが絞られる」ことでも、楽になる。
心がスッキリするからね。
覚えてますか?
持久走で「あと1週!」ってなったときのうれしさ(笑)
ボーリングって真ん中のピンだけ倒せばいいんだ、
って知ったときの「なるほど感」。
どれに集中したらいいのか。
どれはあまり氣にしなくていいのか。
それがわかるだけで、見通しがつく。
見通しがつけば、落ち着く。
落ち着いたら、力が抜ける。
力が抜けたら、血が巡る。
血が巡れば、栄養が届く。ゴミが出て行く。
そしたら、痛みは減るんです。
だから、
「あれもこれも悪い」なんて思わなくていい。
症状の数だけ、
あなたに問題があるわけではないんだからね。
ほとんどの場合、根っこは2~3個。
だから、
「いったいどれが、メインだろう?」
という問いが、すごく大事。
少し余談だけれど、
ぼくは「鈍感力」という考え方はちょっと苦手で、
鈍い人間になりたいとは、思いません。
やさしさまで、死んじゃうような氣がするから。
味がわからない人は、なんでも美味しいかもしれないけれど、
おいしい料理を作ることはできないからね。
それよりも有用なのは、
「アウトオブ眼中力」じゃない?
重要なものと、そうでないものを、分ける力。
これが大事だね。その1つにまず、集中しよう。
他は大したことないものか、今は大事じゃないものだから、
氣にしなくてもいいよ。
――そう思えたら、世界は、ずっと広くなるよね。
100の力が100か所に分散してたものを、
大事な「1」に「100」つぎ込めるんだから、
そりゃあ、勝率の上がり方、ハンパないでしょう?
単純に、100倍かな?(笑)
しかも「余裕」があるよね。
余裕って、「幸せ」のすごく近くにあるしね。
だから、この魔法の質問を、胸に常備しておこう。
「メインはどれなんだろう?」
あとは、サブだけど、
「他はもしかして、大したこと、ないんじゃない?」
「今は放っておいても、いいやつじゃない?」
心が追い詰められるのは、
「追われてる」し「詰まってるから」だよ。
まず、減らそう。
考える前に、悩む前に、取り組んじゃう前にさ。
頭の中の掃除から、すべてを、始めよう。