怖い小説を読んだ。
怖い夢を見た。
なんて単純なぼくのあたま。
辛いものを食べる。
トイレでひりひりする。
なんて単純なぼくのおなか。
入れたものが、出てくる。
じゃあ、ぼくの意味はなんだ?
怖い小説と、怖い夢の間にあるもの。
辛いものと、ひりひりしたあいつの間にあるもの。
そうか。
噛むことだ。
ぼくがよく噛めば、そのあとが変わる。
味が変わる、
形が変わる、
内臓の仕事が変わる、
栄養が変わる、
出てくるものが変わる。
ぼくの個性は、噛むことにあったのか。
何を取り入れて何を出すか、
そればかり考えていた。
でも本当は、その間。
ぼくが変えられるいちばんは、噛むことだ。
噛み分ける。
噛みしめる。
噛み砕く。
ぼくは子どものころより、
なんでも噛める大人になっただろうか。