趣味は、恥ずかしいものでいい。
むしろ、恥ずかしいぐらいのものを1つ、
もっておくのが豊かだろう。
履歴書やSNSに書くようなものとは別で、さ。
だってそっちはもう、ほら、外に向いているから。
人と遊べる川みたいなもんだ。
それはそれでいいけれど、
魂の栄養になるようなやつは、もっと内向きじゃないかな。
履歴書には書かないし、SNSに出すのもいまひとつ……
でも、自分はそれが好きでたまらない。
人を寄せ付けない地下水とか、深海みたいなもんだろう。
「本当は、この世で一番、猫まんまがうまいと思ってる」
みたいな話でさ。
魂に染みるような味って、深く深く入るわけだから、
ちょっとカゲがあっていいんだよ。
暗くっていいんだよ。
いま、おまえさんの趣味はなんだい?
……おっと、いいんだいいんだ、言わなくて。
こんな「さらけ出しグセ」のついた時代に、
人には見せない宝物を秘めておくなんて、
味なマネじゃないか。
人様に迷惑かけるでもねえわけだし。
表に出してる趣味なんかより、
よっぽど大事にするんだよ。
おまえさんの根っこを潤しているのは、
そっちの水なんだからね。