「あんたのおかげで、俺は一人きりじゃなくなったよ」
(とある難病のおじいちゃん)
※この記事は↓のシリーズの続き(最終回)です。
■ ぼくには「熟成された怒り」があった
奥さんのぎっくり腰が治った。
それに自分が「貢献できた」という手応えを得て、しばらく……
考えることがたくさんありました。
「人間って面白い」
「ちょっとしたことでああも変わるのか」
「皮膚ってすごい力持ってるのね」
……このあたりは、健全な感じですよね。
でも、続々と負の感情も湧いてきたんです。
「今までのは何だったんだ」
「整体の先生って、なんであんなに怖い人が多いんだ」
「1万円払っても5万円かけても、良くならないものも多かった」
「長い時間かけりゃあいいってもんじゃないな」
「毎週通わないとよくならないって、あれ、ウソだったな」
「高級な布団買わされたけど、いらんはずだったな……」
「予約なんて強要するもんじゃないよな」
「痛いこととか怖いことなんて全然必要ないじゃないか」
「それは良くならないなんて断言されたら、絶望的に孤独だよ」
怒り。
そう、ぼくの中には、脈々と続けてきた「ぬか漬け」のように
熟成された怒りがたまっていたんです。
それこそ、100件をこえるようなところに行って、
色んな先生に会って、
本当に効いたところって、数件ぐらいでしたからね。
「だったらぼく、腕を磨けばやれるんじゃないか」
この頃から、
胸のどこかでそう思ってたような氣がします。
■ 会社で「ヤバいトラブル」が発生する
個人情報、流出。
タイミングというのがあるんでしょうか。
そんな頃、ぼくが勤めていた会社に、問題が発生しました。
あるスタッフさんが社外に持ち出していたパソコンから
個人情報がもれてしまったんです。
あれは、大変でした。
ガンガン鳴る苦情の電話。
ひどい言葉で挑発してくる取材の電話。
クライアントさんからのお叱り……
忘れません。
ああいうときって、
直接の被害を受けているかどうかじゃなくて、
「攻撃したい人」が攻撃してくるんですね。
ほぼ取引なんてなかった会社の人から
「お前のとこの会社なんて責任とって早く潰すべきだろ!」
なんて言われたこともありました。
でも、潰す前に果たすべき責任がいくらでもありました。
一方で、
直接の被害が出てしまっているにもかかわらず、
「いやいや、うちなんて大したことないよ。
対処にも誠意を感じるし、何より永井さんところのほうが
よっぽど大変でしょ? カラダ大事にして、
ちゃんとおいしいものとか、たまには食べなよ?」
といって、謝罪するぼくの肩を起こしてくれる人もいました。
忘れません。
調査会社としての信用問題もあって、
会社はたたむことになります。
そのとき、ぼくの頭に浮かんだのは、
整体の道だけでした。
びっくりするぐらい、他の候補を考えなかったなぁ。
家族や友人に、
「お前ならもっと稼げる仕事がいくらでもある。
本当にそれでいいのか? なんで整体師なんだ?」
と半ば止められる勢いで、聞かれたりもしました。
あまりに強く勧められるから、
転職サイトの「適切な収入診断」みたいなやつをやると、
たしか年収1200万ぐらいの数字が出てました。
(ああいうのは、多めに表示されるんでしょうけどね)
でも、なんなんでしょうね、
ぼくは熱くなることもなく、淡々と、
「これより面白い仕事はないと思うから」
ぐらいの理由で、答え切っていました。
強い気持ちとかっているよりは、
もっとこう静かな、当たり前のような感じだった氣がします。
■ 月収13万の1年間は、バラ色の修行期間だった
月収13万。
それが整体師としてのぼくの初任給です。
さすがに今見てもビビります(笑)
▼貯金がなかなかのスピードで減っていく。
▼収入が増える見通しはまったくわからない。
▼先輩にはちょっとイジメられる。
(詳しくは↓参照)
みたいなこともありましたが、
ぼくは面白くてしょうがなかった。
いい意味で、変わった先輩がたくさんいたんです。
美容系
アロマ
鍼(はり)
野口整体
スポーツマッサージ
電気治療好き
均整
オステオパシー(これはぼくも大好きなやつです)
AKA(骨盤の関節を整えるやつ)
どの人も「自分が1番なはず」という感じでやってる(笑)
ぼくはもうピチピチの新人なので、
全員に、色んなアドバイスをもらえました。
肩こりの治し方にしたって、
それぞれ違うこと言うレベルです。
6つも7つも出てくる。
どれが正解やねん!つってね。
でも、それでいいんです。
それぞれ、結果をちゃんと出してました。
適性もあるし、
好みもあるし、
相性もある。
あの職場で「みんな違って、みんないい」みたいな学び方が
できたのは、すごく大きかったです。
優秀なのは人間の体のほう。
技術はその次なんだな。
そんな考え方が染みついたのも、
ここでの体験が根っこにあるからかも知れません。
■ 臆病だから、リスクのない独立へ。
今の月収では、富山に帰るしかなくなる。
……ということで、
ぼくは仕事を継続しつつも、仕事がない時間に
「自分のお店」を始めることにしました。
アパートの大家さんに、直談判です。
今思えば、菓子折のひとつぐらい持っていけばいいのに、
けっこう軽いノリで相談に行ってしまいました。
申し訳ない(汗)
でも当時は、それがどれぐらい贅沢な相談なのか、
まるでわかっていませんでした。
でも、当時の大家さんはめちゃくちゃ気さくな人で、
見た目はほぼ、兵藤ゆきでした。
「他の住人さんに迷惑にならなければいいよ」
って言ってくれて、小さめの看板を壁に貼らせてくれるほど、
やさしかった。
破格の親切です。
今になってわかりますが、
そんなこと、気さくに許してくれるところ、
探したってなかなかありません。
ぼくは肝心なところで、本当に運が強い。
助けられました。
「月に30万円もらえるようになるまでは、
ダブルワークを続けよう」
と考えて、
2年は我慢かなぁ、とハラをくくってたんです。
ただ、ぼくの整体は、すごく変わってたようです。
● 月に1回でいいようにしちゃう(一般的には週1継続)
● 整体流の検査をきっちりやる(一般的にはすぐ施術)
● ボキボキもゴリゴリもしない( 〃 にはゴリゴリかボキボキ)
● 整体での見立てを噛み砕いて説明する( 〃 には説明弱め)
● 体質にあわせてセルフケアを伝える( 〃 セルフケアは決まった内容)
● 伝えるセルフケアが楽で続けやすい( 〃 やることが大変)
● 親戚の兄ちゃん風で居心地がいい( 〃 クリニックで先生風)
……みたいなことを、
お客さんが話してくれました。
「永井先生んとこ、変わってるよ」って。
でもぼくにとってはシンプルで、
「ああはなりたくない」という反面教師の数が
とにかくハンパなかったんです(笑)
だから、それを逆に逆に、つくっていっただけ。
でも、それが喜んでもらえたんだと思います。
広告費はほとんとゼロなんだけど、
紹介でたくさん来てくれるようになった。
2年は覚悟していたんですが、
半年で、目標を越えていました。
……といわけで、
覚悟、リスク、根性、決意、理念、志、借金、
ミッションステートメント(笑)、経営計画書みたいなもの
一切なしで、
ぼくは独立することになります。
当時から、楽ゆるでした(笑)
■ 努力がちゃんと報われて欲しい。
ぼくにあるのは、この願いです。
クサいですけどね。
努力が報われて欲しい。
本当に効く健康法を、必要な人に届けたい。
仕事ができる人に限って健康を失うパターンをぶっ壊したい。
「自分でもできることがある」という心の支えを配りたい。
本当の実力や魅力を取りもどすサポートがしたい。
なぜ、そんなにクサいことに本気なのか?(笑)
それは、
昔、自分が欲しくてしょうがなかったからです。
熟成された怒りが、そこに向かうからです。
整体の先生は、怖かった。
時間もかかったし、お金もかかった。
でも、よくならなかった。
通うのやめるって、言いにくかった。
やめるのも自分をあきらめるようで怖かった。
自分でできることがなくて、無力感もひどかった。
ワラにもすがる思いで、ワラを探し疲れてた。
健康法をやる気力さえわかなかった……
まず、健康面で、報われて欲しい。
そこがある程度満たされていないと、
「人生の健康以外のすべての面」は、やがて
崩壊しちゃうから。
能力がすごくても、お金が超あっても、
健康じゃないだけで、見通しなんて簡単に真っ暗になる。
だから、セルフケアなんです。
だから、「早い、簡単、なのに効く」なんです(モットーが)。
もちろん、自分じゃケアできない部分もある。
でも逆に言ったら、力を借りるのはそこだけでいい。
掃除みたいなもんで、
自分でちょくちょくやれてたら、
ものが壊れたり、腐ったりはしないんです。
どうしても掃除がつらい場所とか、
換気扇とか網戸の掃除とか、そういうのは、
たまに業者にやってもらったらいい。
「たまに」で済むんです。
家でさえ、手入れをしたら長持ちします。
ぐっと快適に暮らせます。
まして超優秀なカラダという住処は、
手入れによって長持ちするだけでなく、
機能がものすごく高くなる。
ずっとずっと快適に暮らせる。
一生住み続ける家ですしね。
そう。
だから、セルフケアなんです。
ブログもメルマガもYoutubeも本も、全部そう。
「自分でもやれる」という自信は、
一生を支えてくれるお守りです。
今ぼくは、もうそれを持ってます。
ずっと欲しかったものを、手に入れました。
こんなにいいものはない。
それがあるから、やってこれました。
だから、自分が本当に価値を感じるセルフケアを
手入れして、改良して、
こうやってちょっとずつ手配りしてます。
そうやって、今に至りました。
そうやってぼくは、
セルフケア馬鹿な整体師になりましたとさ。
まあでも、出発点は何のことはない、
「面白いから」と、
「昔、腹が立ったから」だけの話です(笑)
今はまだまだ駆け出しですが、動機が枯れないものなだけに、
提供できるセルフケアの質がじわじわ上がっていくことは
お約束できます。
そんな整体師のお守りですが、
よかったら、こうしてちょくちょく受け取りに来てください。
末永く、ご縁を大切にできれば、とても嬉しいです。
今後とも、よろしくお願いいたします!
……というわけで、今回は珍しくシリーズで
「あんたはなんで整体師になったのけ?」
というテーマで、お送りしました。
ではでは、くれぐれもお大事に!
こうして振り返ってると、
ちゃんとした苦労を経てない氣がしてきました……(笑)