楽ゆる式◎セルフケア整体

心と体が楽になるコツ。辛い症状・病気を自分で治したい人へのヒント。 ----- by 楽ゆる整体&スクール代表 永井峻

超イケメン経営者、20年のウソ。

超イケメン経営者、20年のウソ。



「20年、息子にウソをつき通しました……」
―― そう話してくれた男性は、40代後半。
顔が「ほぼ草刈正雄」な、イケメン経営者です。

息子さんの教育のために、
「お金があんまりないフリ」を、20年、やったそうです。

 
● あえて小さめのアパートを借りて、
●「もう一着1,000円!」みたいなスーツを着て、
● 旅行なんてごくレアなイベントにして、
● 家具も靴もバッグもぜんぶ安めのものにして、
● 息子へのお小遣いも平均より少なめにして、
● もちろん奥さんにも話を通して……
ほんとうは……「お金なんて、うなるほどあるのに」。

20年……
異常なほどの、徹底ぶり。

理由は、
「お金持ちの親を持つ子どもたちに、
 気に入らないのが多かったから」とのこと(笑)

「何でも与えられるのが当たり前」
「自分の思い通りにならないと怒る」
「お金や物の有り難みがわからない」
「働く意欲がない」
……みたいな子に、絶対になってほしくなかった。

そうはいっても、両親にだって、
かなりの不自由があったでしょうにね。

ただ、そんな努力のかいがあって、
その秘密はしっかり守られたまま、
高校生になった息子さんは、言ったそうです。

「オレ、バイトするわ」と。

平均より少ないお小遣いに文句のひとつも言わず、
自分で稼ぐことを決めた。

そのバイトを続けて、
自分でコツコツ貯めたお金でついにギターを
買ってきた夜は、すごい喜びようだったそうです。

一日中ヒマさえあればギターを弾いてるし、
ご飯を食べるときさえ、
ずっと手が届くところに置いて、チラチラ見ている。
大事でしょうがない。

そのとき、
「そんなに喜ぶものなら、親として、買ってやりたかった」
という気持ちと同じぐらい強く、
「息子のこの経験のために、耐えてきてよかった」
と思ったそうです。


数年後。

「そんなに経済的に余裕がない家庭の子」として
育った息子さんも20才になり、
真実を告げるときが、きました。

息子のためとはいえ、
けっこう大きな規模の、ウソです。
20年も騙してきたことは、申し訳ない。

激怒されるかも知れないし、
親としての信用をしばらく失うかも知れない。
このときばかりは、
どんな反応をされるのか、ものすごく怖かったそうです。

誕生日の夜。

本当のことを聞かされた息子は、
一瞬、止まりました。

怒っているのか、
考えているのか。

両親の不安が頂点に達しようとしたころ……


「あっはっっはっはっはっはっっは!!!
 マジで???
 ずっと貧乏なフリしてたの?

 オヤジも母さんも、自分たちまで我慢して?
 はっはっはっは!!すごいねそれ!!
 よくやったね!!」

息子さんは、予想に反して、
大爆笑してくれた。

怒るよりも何よりも、えらく楽しそうに。


ただそれでも、不安は消えません。


「ウソをついたことは、やっぱり
 申し訳なかったと思ってる。ごめんな」

お父さんは、
本当は何年も抱えてきた言葉を、
息子さんに伝えました。


そこで息子さんから
返ってきた言葉は……


「まあ、正直、びっくりはしたけどね。
 それでも、それが誰のためかぐらい、わかるよ。
 だって、オヤジも母さんも、それで自分が得すること
 なんてないもんね」

「俺は楽しくやってきたし、
 やりたいスポーツは応援してもらってたし……
 まあそのスポーツ用品代をもらうのが
 申し訳なかった気持ちは返してほしいけど(笑)
 それでも、だから大事にしてきたしね。
 道具も、部活もね。」

「バイト先でいい仲間もできたし、
 自分で買ったギターは宝物になったし、
 もし家にお金があるってわかってたとしても、
 何かを変えたかったと思うことはないよ。
 だから、何の文句もない。
 いやでも……普通、やらないでしょ、そこまで。
 マジでウケるわ!!」

という答えでした。


お父さんはあまりにうれしくて、
まともに返事ができなかった。

お母さんは緊張から解放されたこともあって、
たくましい息子の肩に手をおいて、
しばらく泣いていたそうです。


「こんなやつだったら、
 家にお金の余裕があるってわかってても、
 まともに育ったかも知れないんですけどね(笑)」

そんな冗談で、
彼はその昔話をおえました。



ぼくは、思いました。

何その、全員カッコいい家族。
マンガなの?

――と(笑)


そして、個人的に気になって、
その後のことを聞いてみたんですが、
息子さんは、
「お小遣いアップ」も必要ないと断り、
「店長にも先輩にも世話になってるから」といって、
バイトも普通に続けたそうです。


イケメン過ぎる……

顔もぜったい、
向井理みたいな感じに違いありません。


息子さんは贅沢はできなくても、
「親から大事にされている」という感覚が、
たしかにあったのだと思います。

その信頼のベースがあるから、
長い長いウソにも、
腹が立たなかったんでしょう。



「かわいい子には、旅をさせろ」というけど、
よく考えたらそのときの苦労って、
親の側にもたくさん、あるんですよね。

「甘やかさない」ということは、
意思の力、時間、目的、忍耐と、いろんなパワーを
試されることなんでしょう。


関心の量って、本当に難しいです。

過剰でも、ダメ。
あまりに不足しても、ダメ。
かといって「少し余る」のも、油断や慢心になる。

きっと最適なのは
「適度に少し不足する」というバランスなのでしょう。

これは、
子育てだけじゃなく、
「体の手入れ」についても、全く同じだと思います。

たとえば……

● 小食(栄養の適度な不足を感じさせる)
● 仕事(メンタル充足の  〃    )
● 運動(体力・気力の   〃    )
● ストレッチ(柔軟性の  〃    )

などなど。

安全性は全力でキープしながらも、
「ちょっと飢えがある環境」を整えてあげる。

そんなふうに
「かわいい体には旅をさせよ」的な意識を、
大切にしてみる。

その結果、
「与えられた健康」ではなく、
「自力で獲得した健康」は、
段違いに強い生命力をもたらすのだと思います。



今回は、衝撃とともに
いろんなことを考えさせてくれた、
イケメン一家のお話でした。


ではでは、くれぐれも、お大事に。
ぼくも「健康への飢え」が、小学校の頃から
ずっとあったなぁ。